インドネシアに長く住んでいると物やサービスの値段が上がっていく事を感じている人も多いかと思います。
この10年のタイ物価上昇率の平均は約5.2%です。5.2%の物価上昇が10年続きますと物の値段は約1.6倍となります。
10年前の人が受け取っていたお給料の1.6倍を受け取ってようやくお金の価値の感覚が同じとなります。
※ちなみにタイは、2.5%の物価上昇が10年続きますと物の値段は約1.6倍。
従いまして、10年前にインドネシアで働いていた人の年収500万円と現在インドネシアで働いている人の年収800万円の人が同じお金の価値と言えるかもしれません。
今回は実質賃金を中心に解説したいと思います。
この記事の目次
- 1 実質賃金を意識しましょう。
- 2 外国為替が関係するとどうなるのか?
- 3 インドネシアにお住いの人が運用しないというリスク!
- 3.1 25年で給与と資産が世界標準では半分に・・。
実質賃金を意識しましょう。
実質賃金とは、名目賃金から物価上昇率を差し引いたものです。
すなわち、賃金が5%上昇しても、物価が10%上昇していたら、実質賃金は減っていることになります。
この25年くらい、日本はデフレでしたので、賃金が上昇することはあまりなく、新卒の初任給も約20万円のままのように、名目賃金・実質賃金ともに殆ど変わっておりません。
外国為替が関係するとどうなるのか?
ではここで、A国とB国の2か国で外国為替を絡めて、簡単な思考実験を行ってみます。
ある時点での、A国の賃金は2,000ドル、B国の賃金は20万円とします。
そして、この時点では1ドル=100円であるとすると、双方の国の賃金は20万円となり、労働の対価は同じです。
その後、A国は適度なインフレ(物価上昇率2%)、B国はデフレ(物価上昇率0%)とし、生産性の向上等はなく実質賃金は変わらないとしますと、
A国:物価上昇率2%、賃金上昇率2%
B国:物価上昇率0%、賃金上昇率0%
となります。
これが35年間続きますと、
A国の名目賃金は4000ドルへと上昇します。
一方のB国の名目賃金は20万円のままです。
では35年後の為替レートは、労働の対価が同じであることを前提にすれば、1ドル=50円でちょうど良いということになります。
もし、1ドル=100円で変わらないとなると、A国の賃金は40万円、B国の賃金は20万円ですので、B国の労働への対価はA国と比べ半分になっています。
これが、この25年の米国と日本で起こったことです。(実際には米国では実質賃金も上昇)
日本の場合は、輸出産業がメインのため、1ドル=70円、まして1ドル=50円になってしまうと経済が大変なことになるし、反対に過度の円安も問題ですので、1ドル=100円くらいが丁度よいなどとも言われます。
では為替が1ドル=100円で安定することが良いというのであれば、デフレ下においても、賃金(そして資産)が円ベースで2%ずつ上昇して、世界と同じレベルであるということです。
インドネシアにお住いの人が運用しないというリスク!
25年で給与と資産が世界標準では半分に・・。
円資産での運用はリスク無しの運用リターン(短期国債金利)がマイナスという状況ですので、2%を超える運用リターンを狙うには、相応のリスクを取る必要が出てきます。
一方のドル資産での運用であれば、10年米国債の運用でも、約3%のリターンが取れます。
この25年、何もしなかった人は、給与・資産が世界標準で半分になってしまいました。
日銀が物価上昇の達成期限を明確に示すことができなくなったということは、これが暫く続く可能性が高いということです。
リスクを取らないことが最大のリスクであることに、そろそろ気づくべきだと思います。
では、何のリスクをとるべきなのか?
これは人それぞれで、大切な問題ですので、真剣に考える必要があるなと感じます。