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香港貯蓄型生命保険が海外居住者の資産運用に優れている理由

今回は香港の貯蓄型生命保険が海外居住者の資産運用に優れている理由について解説します。

理由1.高い運用利回り

香港の貯蓄型生命保険は日本の貯蓄型生命保険と比較してみると高いリターンを実現していることがわかります。日本と香港の保険は何が違うのでしょうか?

香港は国際金融センターとして発展してきた背景があり、世界中から大手金融機関が集まっています。また、香港政府が金融機関に対して高いハードルの監査基準を設けていることに加え、保険商品も厳しい競争環境の中で設計・販売されていることもあり、合理的な商品が生み出されるようになっています。

一方、日本の生命保険業界では、過去に護送船団方式と呼ばれる経営が常態化しており、各社が足並みをそろえたかたちでの商品の提供してきました。日本の生命保険会社は長期にわたり競争をしてこなかったため、現在においては、国際競争力を失ったと言われています。

また、バブル崩壊後に円の金利が下がった影響で、円建て貯蓄型生命保険の魅力が無くなったため、保険会社の新たな収益源として米ドル建て貯蓄型生命保険の販売が行われるようになりました。

日本の米ドル建て貯蓄型生命保険の販売方法として「円建ての保険よりも米ドル建ての保険の方が利回りが高いのでお得である」という比較基準を間違えた商品説明が行われているのをよく聞きます。

商品を比較する場合は、通貨を合わせて比較しないと比較になりません。米ドル建て貯蓄型生命保険の場合、正しい比較対象はリスクフリーレートである米国債です。米国債はアメリカが倒産しなければ約束される金利で、いつでも換金が可能です。

日本の生命保険会社が販売している米ドル建て貯蓄型生命保険は、リスクフリーレート(米国債金利)よりも低いリターンを契約者に提供しています。死亡保障がついているので仕方のない面はあるものの、単に貯蓄を目的とした場合は米国債を購入した方が良いということになります。

香港の貯蓄型生命保険の運用利回りは、リスクフリーレートである米国債金利や社債・株式と比較すると、適正なリターンを受けることができています。もしくは、日本の米ドル建て貯蓄型生命保険の利回りが低すぎるという表現が適切かもしれません。

理由2.価格変動リスクの低減

香港の貯蓄型生命保険は機関投資家である保険会社を通じて、市場に投資をしています。投資信託等を通じた有価証券への直接投資と比べて、価格変動リスクを低減できるという特徴があります。

プール機能

プール機能とは設計書に記載されている運用目標値よりも実際の運用が良い時は保険会社が資金をプールし、運用目標値よりも実際の運用が良くない時にプールした資金の一部で補填する機能のことです。

この機能は価格変動リスクを抑える保険機能と言われており、プール機能があることで、契約者は長期で安定した収益が期待でき、将来お金を受け取るタイミングも選びやすくなります。

債券運用

香港の貯蓄型生命保険は、預かり資産の一部を債券で運用しています。ちなみに、債券市場の規模は株式市場の倍以上とも言われており、およそ100兆ドル以上の市場が存在します。

債券の特徴として、債券のほとんどは政府機関や証券・保険会社などの機関投資家の間で直接取引されており、一般の投資家が参加できる取引はごく一部に限られています。

機関投資家である保険会社は、契約者から保険料として資金を大量に集めることで、個人投資家よりも優位な立場で証券会社と価格交渉ができるようになっています。また、大量な資金を集めて再投資を繰り返すことで、契約者に対して複利や分散効果をもたらすことができます。そのため、個人で債券投資をするよりも見通しの立った安定的な運用を実現することができます。

<債券とは>
債券とは国や企業が資金を借りるために発行する有価証券のことです。つまり、債券を購入するということは、国や企業などにお金を貸すということです。発行時に「利子率」と返済期間にあたる「償還期間」が決まっているため、購入時点で将来発生する利益が決まっています。そのため、金融の世界では債券のことをFixed Income(確定利益)ともいいます。

理由3.一部引き出し機能

香港の貯蓄型生命保険は解約返戻金の一部を引き出すことができます。しっかりと運用期間を確保して増えた保険金は、一括で引き出すことができますが、一部引き出し機能を活用することで年金の様に毎年少しずつ引き出すことも可能です。

日本の平均寿命が延びている現状に加え、年金・医療・介護など社会保障制度の維持に対して懸念がある今、若いうちから自分や家族のために自助での準備をしておくことは避けられないと思います。

香港の貯蓄型生命保険のプランを続けつつ、一部引き出し機能を活用して徐々に保険金を引き出すことで、公的年金以外の継続的な収入を発生させることができます。また、こうした「長生きリスク」の対策だけではなく、名義変更などと併せて活用することで、節税メリットを受けられる場合や、相続発生時の納税資金対策をすることもできます。

理由4.世界中の銀行口座で受け取りができる

香港貯蓄型生命保険は世界中の銀行口座で保険金を受け取ることができます。また、受取銀行口座をUSD口座とした場合、USDのまま保険金を受け取ることができるという特徴もあります。

理由5.相続手続きが容易である

外国の証券会社を利用した株式や投資信託・その他海外不動産などの場合は死亡時に国際相続手続きなどが発生しますが、国際相続は手続きが煩雑で、相続人の事務手続きと費用の負担が大きくなります。(国際相続の詳細はこちらをご参照ください。)

香港貯蓄型生命保険では、あらかじめ指定をした死亡保険金受取人が保険金を受け取り、その死亡保険金は受取人固有の財産となります。相続財産ではないため国際相続の対象にはなりません。

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Tomohisa Nakagawa

Global Support Indonesia代表。1975年生まれ。静岡県静岡市出身。大学卒業後、食品会社に就職し総務部配属された後、人事・保険の責任者となって生保・損保保険に携わる。34歳で起業し、翌年GLOBAL SUPPORT LIMITEDに加入。42歳の時にGLOBAL SUPPORT INDONESIAを設立。現在はインドネシアで資産運用コンサルティングを行っている。

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