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猛威を振るう投資詐欺-本物と偽物を見極める知識武装を!

 

投資に関するこんな記事を見つけました。11月15日の記事

「猛威を振るう投資詐欺、「ポンジ・スキーム」の悪辣手法」

https://news.yahoo.co.jp/articles/7af2e9e9957e3f948d537c8bb531a5788387ed6a?page=1https://mainichi.jp/articles/20201019/k00/00m/040/245000c

この記事をみた私の最初の感想は、引っかかる気持ちはわかるけどなぜ引っかかるんだろう・・・。

相当詐欺師がうまいのかな?と。

この種の同じような投資話は、湧いては消えて、湧いては消えてを繰り返しているにもかかわらず、その都度騙されてしまう人々がいることが、本当に残念で仕方ありません。

騙す側が悪いのは言うまでもないですが、騙されてしまう側も、少しの経済知識と理性的な判断で、この種の投資話は十分回避できるはずです。なんだかんだ言っても、最後は自己責任なのが投資です。お金を無駄にしないよう必要最低限の知識を身に付けるよう意識したいですね。

本日は、投資を謳った詐欺でよくあるキーワードをピックアップしながら解説していきたいと思います。例として、下記のような投資案件でみてみましょう。

▼テキシア
▼D9クラブ
▼エル・アンド・ジー
▼HANA倶楽部

(投資案件事例)

  • FX(外国為替取引)の完全自動売買で毎月3%を保証し、運用開始から実績として5年以上継続中。だから絶対に儲かると案内された。
  • 100万円から投資が可能で、2年後に元本保証もあり。
  • シンガポールの銀行に口座を無料で開設。デビットカードも発行するので、将来配当をその口座で受け取り、好きな時にいつでも引き出せる。実際に配当を受け取っている人もいる。
  • 運用状況は、専用ウェブサイトでいつでも最新時価総額を確認可能。
  • 紹介制度により、友達を紹介すると投資金額に応じて手数料がもらえる。

では順を追ってみていきましょう。

月利3%は本当に出し続けられるものなのか

株式投資をし、企業に一生懸命リターンを追求してもらうと、過去においては平均実質年利は7%程度でした。ただこれはあくまで平均であり、プラスの月も年も、マイナスの月も年もあった中での平均の数字です。またヘッジファンドにしても、年利12%(月利で1%)もしくはそれ以上を単年または複数年続けることはできても、必ず毎年出すこと、また約束することは無理でしょう。市場は常に動いており、運用のプロといえども、常に一定のプラスのリターンを出し続けることは至難の業です。

一方今回の案件は、毎月3%のリターンですから、年利では30%を軽く超えます。確かに魅力的な(もはや異常な)リターンですが、100歩譲ってこのリターンを、単年、単月で出すことは可能かもしれませんが、運用開始当初から何年も継続して出し続けることは、どんな素晴らしいコンピューターによるものだとしても、今のところ不可能だと思います。私が聞いたことのあるFXの自動売買で、案内当初の通りリターンを出し続け運用しているFXは一件もありません。

そもそもFXは、投資というよりは投機に分類されます。いわゆる奪い合いなので、ゼロサムの関係です。従って、あなたが勝ち続けるためには、必ず敗者にいてもらわないといけないのです。その関係性で成り立っている市場で勝負する際、もしあなたが必ず勝てる自動売買システムを開発できた時、見ず知らずの人たちを募って一緒に儲けようと本当にしますか?自分の儲けを減らす(または勝率を下げる)ようなことをわざわざする必要がどこにあるでしょうか。

そして運用の世界に、「絶対」はありません。この「絶対」ワードが運用の中に出てきたら、その案件はまず疑ってください。また運用の中身を開示しない場合も、あまりお勧めできません。詐欺かもしれないということを踏まえて、最悪ゼロになることも覚悟の上で割り切ってください。自分が理解できないものは、基本的に出資すべきではありません。

投資案件の真偽の判定する一つの方法として、自分がこの案件を運用する側だったら、そのスキームが成立するかどうかを考えてみるのもよいでしょう。運用リターンが実際に可能かどうか、そして可能ならどういう運用をするのか、コストが見合うかどうか、提示した条件が本当に実践可能かどうかなどです。

私はFX投資自体の否定はしません。やりたい人はやってもらったらいいのですが、FXはあくまで奪い合いなので、必ず誰かが損をします。その損をするのが自分なのか他人なのかの違いだことを理解いただいた上で取引なさってください。

投機と投資の違いがわかると、目指す資産運用が決まります。
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2020.06.04
投機とは デイトレード(株式)、FX(為替)、コモディティ(金など)、仮想通貨、皆さんも資産運用の方法として、一度は耳にしたことがある言葉だと思います。これらは、 買った株が、買値...

何故元本保証が可能なのか

もし皆さんが年利30%を出すことができる敏腕トレーダーだったとしたら、金融機関から1億円借りて運用するのと、100万円の投資家を100人集めるのでは、どちらを選びますか。

前者は金利を払うことになりますが、年利30%の収益が出せるのであれば、最近の低金利であればどうってことない問題です。手続き自体も借りて終わりですからシンプルですし、返せと文句を言ってくるのはその銀行だけで済みます。

一方後者は、投資家を複数探すのも大変ですし、そこで発生するお金のやり取りや事務手続きや人件費やコストもかかります。更に運用が上手くいかなかった場合、沢山の投資家から文句を言われる可能性もあり、とにかくいろいろと面倒なことが多くなるでしょう。だったら最低投資金額を1億円にしておいて、ポンと出してくれる投資家一人探す方がよくないでしょうか。

では何故前者をしないのか、面倒な後者をわざわざしてまでお金を集めているのか。その答えは簡単です。そうしないと、お金を集められない事情があるからに他なりません。

更に日本人にとって、「元本保証」という言葉は、もはや投資促進キーワードとなっているようで、この言葉が付くと、とたんに脇が甘くなり出資してしまう傾向があるようです。私からすれば、むやみにこのキーワードを使ってくる案件は、逆に気を付けます。そもそも運用しながら元本を保証するには、必ず仕組みが必要です。その仕組みを理解せずに、言葉だけを鵜呑みにし信用するのは危険です。ちなみに投資金を100%FX運用に充てながら、そして一定のリターンを出しながら元本保証(または一定期間後の元本を約束)することは、まず不可能と思っていただいてよいと思います。もしその仕組みが、ブラックボックス的なことを謳い開示できないというなら、私はその時点で出資はしません。

あと、「100万円から」という最低投資金額も、よく耳にする金額です。(上記の記事は、700人から2億円集めているので、多分10万円ぐらいから投資ができたと予想します)理由は定かではないですが、少し余裕がないと参加できない金額であることで、情報の価値と案件の信用を高め、出資できることに優越感が持てるからでしょうか。または一般の日本人が、出資しやすい金額、そして最後泣き寝入りして我慢できる金額なのでしょうか。最低投資金額で運用の優劣は決められませんが、あくまで個人的感覚ということで、記述しておきます。

海外を利用すれば非課税?

出資すると、併せて海外の銀行口座が開設できて、デビットカードがもらえるので、配当や解約金はその口座で受け取り、好きな時に引き出せる、というのもセットでよくある話です。全然聞いたことのない銀行だったりしますが、ちゃんとデビットカードがあったりします。ただ通常大手海外銀行は、マネーロンダリングの関係もあり、口座開設には、本人が現地に出向いて面談や身元確認が必要なケースがほとんどです。ですからそういった手続きを要しないということは、何かしら特殊な口座の場合もあるようなので注意が必要です。ご自身の大事なお金を入れる箱(口座)は、知名度があって信用力が高い方がよいに決まっています。ですからどういった銀行なのかは事前に確認するようにしましょう。

またこの口座を利用することで、税金も回避できる、なんていうものなら、それ自体が間違いですから気を付けてください。日本人は、海外での運用益であっても、居住する国で必要な税金を払う必要があります。

そもそも運用されていないことも・・・

現在の運用状況がどうなっているのかは、いつでも専用のウェブサイトにIDとパスワードでログインすれば、最新の時価総額が確認ができるようになっているというのですが、そのスマホ画面に見る時価総額は、そもそも本当の運用の結果かどうかなんて、正直なところ分かりません。いくらでも「演出」ができるわけです。実際上記に紹介した記事では、運用を偽装し、実際何も運用していませんでした。ですから、どんな運用をしているのか、その運用者の信用はどうなのかを見極める必要があります。

投資金を誰に預けるのかも重要です。例えば海外の証券会社にせよ、ヘッジファンドにせよ、金融機関であれば、投資家(契約者)からの直接の入金でないと、マネーロンダリングの関係上、投資金の受付はされません。あいだに紹介者の口座や代理店の口座を介して投資金を入金するような流れは基本的にはありませんので、投資金の流れも判断材料の一つになります。

また周りに配当をちゃんと受け取っている人が居たりすると、安心してしまう材料になりがちですが、新たに入ってきた投資金を自転車操業しながら、配当を出すことは決して難しくはありません。極端な話ですが、自分が出資した分までは、配当金として返しても±ゼロとも言えます。さらに出資を募り続け、ある程度の規模の資金が集まると、大抵の場合、今まで滞りなく受け取れていた配当が突然止まります。そしてなんやらかんやらごたごたしているうちに、連絡が取れなくなります。

紹介料の原資はなにか

投資するお友達を紹介すると、紹介(手数)料が貰える場合があります。紹介料がでること自体は、スキームとしてはある得るのですが、それがけっこうな金額の場合は、やはり少し疑う方がよいかもしれません。そのの出どころは、多分自分が紹介したお友達の出資金の一部から分配されるはずです。その紹介料が、出資金の20%だったり30%もあったりすると、その後運用とリターンを成立させることが非常に難しくなりますよね。成り立ちにくい手数料体系だと感じた場合は、是非気を付けてください。

また紹介が紹介を生むようなネットワークビジネスのように取り扱っている場合もあるようですが、そもそも物品ではない金融商品をネットワークビジネスに乗せることは、金融商品取引法で認められていませんのでご注意ください。

まとめ

では最後にその投資を決める際に押さえておきたいポイントをまとめます。

・運用の中身を自分で理解できているか。-自分で理解できていないものへの投資は厳禁です。わからないことがあるならわかるまで確認をしましょう。信用しているXXさんがやっているから大丈夫、みたいに他人任せにしないように。お金を出すのはご自身ですから。また自分が運用側の立場に立った場合に案件が成立するかどうかも考えてみましょう。

・運用リターンが取る投資リスクに対して適当かどうか。-運用には必ず何かしらのリスクがつきものです。リスクを取らずにリターンは得られません。つまり取ったリスクの対価がリターンです。投資詐欺の場合は、仕組みもさることながら、リターンが見合ってない場合がほとんどです。そのリスクを見誤ってしまったり、過小評価してしまうことで後から、こんなはずじゃなかった、となるわけです。

・預けるお金の流れは適切か。-まっとうなお金の流れかどうかの確認を怠らずに。

以上いかがでしたでしょうか。うまい話は投資の世界では有りません。もしうまい話に聞こえたら、何かを見落としているのではないかと、自分をまず疑ってください。正しい判断ができるよう是非必要な知識を身に付けてください。もし判定に自信がない場合は、遠慮なくご相談下さい。私なりの見解・アドバイスはいつでもさせていただきます。

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Tomohisa Nakagawa

Global Support Indonesia代表。1975年生まれ。静岡県静岡市出身。大学卒業後、食品会社に就職し総務部配属された後、人事・保険の責任者となって生保・損保保険に携わる。34歳で起業し、翌年GLOBAL SUPPORT LIMITEDに加入。42歳の時にGLOBAL SUPPORT INDONESIAを設立。現在はインドネシアで資産運用コンサルティングを行っている。

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